オトランド城の天使

オトランド城のあるストロベリーヒルへ行く。
ウォータールー駅でミートバイを買って、電車のなかで食べる。

オトランド城ツァーすばらしかったのだが、さて帰ろうという段になって……

ストロベリーヒル駅に電車が来ない。
発着を示す電光掲示板も無言。

……。

またかよ、と思いつつ駅の時刻表を見たら、「ストロベリーヒル」の駅にもかかわらず、なぜか時刻表に当駅の名がみあたらず、お隣の両駅の発車時間が書いてある。

どうやら、われわれは次元の間にはさまったらしい。

どうしてくれようかと悩みつつベンチに座っていたら、巨大な男、出現。
となりにいきなりどっかとすわって、
「おめー、火もってねーか」
とものすごい訛りで聞いてきた。

うわー、これがうわさのコックニー訛りというものなのか。

「ごめんなさい、もってません」
と言うと、巨人はたちあがり、ゆらめくような足取りでふらふらと歩きさるや駅のヘルプボタンを押し、
「あのよぉー、電車がいつくるのか、わかんないんだけんどもよぉー」
と喚いていた。ヘルプボタンの向こう側と、しばしやりとり。

強烈なショックでびびっていると、巨人はゆらゆらともどっきて、ゆうぜんとマリファナをふかしながら、
「あと、三十分だ、わかるか? 六時に来るんだ」と喚く。

「サササササンキュー」
とお礼を言いつつ、待つこと三十分。
駅の校内アナウンスがわれわれが乗ってきたプラットフォームに電車が到着すると放送した。

え?  (汗)

巨人は喚いた。
「向こう側だ!」
なぜ、逆 ?
と思うまもなく、巨人は連絡通路を指さしていった。
「わかんねえのか、あの階段をあがって、あすこをわたって、またおりるんだ」

ふえ〜ん。と泣きながら、あっち側のホームにわたると、はたして、やってきた電車はロンドン・ウォータールー駅行きなのだった。がちょーん。この路線環状線なのか?? わかんねー。英国のJR。(←混乱してます)

それにしても、言うとおりにしなかったら、乗り遅れていたかも…。
「ひょっとして、あのヒト、いいひとじゃん」

思わず窓から手をふるわたしたち。明るく手をふり返す巨人族の男。
ありがとーありがとー。
ゆらゆらと歩き去ろうとする彼の背中には、とてもちっちゃな羽が生えている。

多少遅れつつも、ロンドン、ウオータールー駅に無事到着する。