小谷真理解説本サーベイ7

今日で七回目のサーベイ
いろんな本の解説を書いてきたものだなーと思いつつ、一定の傾向があるなーとも思えるラインナップに、少々苦笑。



モンティニーの狼男爵

モンティニーの狼男爵


文学的遊戯性に満ちた作品。解説のタイトルは「ロマンス、その洗練の妙法」。




鏡の影

鏡の影


解説のタイトルは「盗まれた知恵の果実」。121頁に書かれた「そもそも盗むことなしに、盗むに値するものを手にすることができようか」をひきながら、ゲーテの『ファウスト』、ゴーレム伝説、錬金術などなどへオマージュをささげつつ、ヨーロッパ思想の裏街道を彷徨うような本書世界への憧憬をしたためている。なお、解説者は、ハードカバー本がでたときに日経書評で真っ先に本書をとりあげたことがあり、こういう世界がやっぱり好きという心情をストレートに告白している、とも読める。





斎藤家の核弾頭 (新潮文庫)

斎藤家の核弾頭 (新潮文庫)


近作『仮想儀礼』といい、硬直した人物やとほほな人々を洒落のめすブラック・ユーモアはサイコーである。
本書も「笑える悪意」ということではひときわ抜きんでてている。
解説タイトルは「超革命的日本家族論の凄味」。




鈴木いづみコレクション〈4〉 SF集(2) 女と女の世の中

鈴木いづみコレクション〈4〉 SF集(2) 女と女の世の中


文遊社から刊行された鈴木いづみコレクション第四巻。七〇年代フェミニズムSFとの関係性から論じたもの。




浮く女 沈む男 (朝日文庫)

浮く女 沈む男 (朝日文庫)

インテリ男の脆弱さと変幻自在のしたたかさを描く問題作。
解説のタイトルは「島田流下克上文学への挑戦」となっている。